2017年2月3日金曜日

JUKEBOXのこと、Kawanishiくんのこと。

平素より大変お世話になっております。
wearerのYKでございます。
TwitterやInstagramにうつつを抜かしている間、こちらのブログの更新頻度はもはや年1。でも続いております。
改めまして、今年も何卒よろしくお願いいたします。

JUKEBOXというパーティが、この土曜日に終わりを迎える。
そして首謀者であるDJのKawanishiくんは、音楽にまつわるすべてから手を引くという。
またひとつの季節が終わる。

僕がJUKEBOXにはじめて足を運んだのは、2013年の夏のことだった。

なんでどうやってJUKEBOXと、Kawanishiくんと出会ったのかは、よく覚えていない(きっとTHISTIMEまわりの方がつないでくださったのだと思うのだけど)。
でもあの日、「サーキットイベントもクラブも自分にとっては並列なんで、とにかく面白いことするんでおねしゃす」とか言いながら泥酔してDJするKawanishiくんの姿を見て、DJブースからからまっすぐにとんでくる気概を受けて、僕はいっぺんにぐっときてしまったのだった。
DJのうまいとかへたとか、僕には正直よくわからない。でも、ロックンロールにとって演奏技術がどうでもよくなる瞬間があるように、僕はあの瞬間からKawanishiくんのことが好きになってしまったのだと思う。

それから僕は、JUKEBOXの面々とたくさんの夜を過ごした。

お客さんとしてパーティーに遊びに行くことも多かったけど、ありがたいことに、演者としてJUKEBOXがらみのイベントに出ることもあって。
自分のバンドの話で恐縮なのだけど、僕がやっているwearerというバンドは、とにかく寄る辺のないバンドで。
どのシーンの仲間にもなれず。どのジャンルにも属することもできず。流行りの音でもなく。特にクラブ映えするわけでもなく。
その、あらゆる隙間からこぼれていってしまうような僕らを、どう考えてもイベント的になんのメリットもない僕らを、「いいんじゃないの」と言ってくれる稀有な場所のひとつが、JUKEBOXだった。

Kawanishiくんはきっと、理屈や戦略や文脈じゃなく、「なんかこいつらいい感じ」という衝動に従って、僕らにかまってくれたのだと思う。それが、誰に媚びることもない、誰の顔色をうかがうこともない、Kawanishiくんの愛だったのだと思う。
「サーキットイベントもクラブも自分にとっては並列なんで」
そう、Kawanishiくんにとっては、おもしろいことは全部おんなじなのだ。今流行りで華のあるたくさんのバンドと、僕らみたいなおっさんがやってるしがないバンドを、おんなじようにおもしろがってくれた。月並みだけど、胸はってこれやってていいんだな、って背中を押された気がしてた。

そんなJUKEBOXがもう終わる。

JUKEBOXといえば、ついついKawanishiくんの話ばかりになってしまうんだけど、もちろんそこにはKINGさんっていう最高の女房役がいて(一緒に仙台のイベントへ遠征したときの、KINGさんの見事な仕事ぶりを僕は忘れないだろう)。
それから、朝方泥酔したKawanishiくんの代わりにきっちりその場をまとめてたskmtさんとか。shimaくんと出会ったのもたぶんJUKEBOXだよなー。
あまりにも濃いメンツがひとつのイベントを作っていく姿、まるでロックンロール・バンドのようだった。そんな空気も好きだったな。
だからやっぱり僕にとってのJUKEBOXは、青山蜂でのJUKEBOXで。最後蜂に帰ってきてくれたのは、さみしいけれど、なんだか嬉しい気もしています。

僕は、難しいことなんか全然わからないけど、JUKEBOXが、KawanishiくんのDJが好きだった。 それでいいと思ってます。
恋愛でも青春でも人生でも、終わるときはどんなものだって終わる。
それでいいんです。
僕は、JUKEBOXとKawanishiくんのおかげで、たくさんの人に、たくさんの音楽に出会えた。
ありがとう、さようなら。
ありがとう。

最後に。

KawanishiくんのDJにはいろんな思い出があるけれど、何より最高だったのは、ある夏のキャンプミーティングでのDJだ。
キャンプミーティングというのは、野外のDJイベントで。まあ都内で野外で深夜に爆音出したりするので、その日は警察なんかもきたりして、なんかすったもんだがあってイベントが中断して、音が止まってしまったのだった。

Kawanishiくんはまあやっぱり泥酔してたんだけど、「俺が話つけてくる」とか言って、警察に向かって行き、話がついたんだかつかないんだがそこのところはよくわかんないんだけど、とにかくイベントは続行することとなり。

そして、この先どうなっちゃうんだろうー、みたいな空気の中、静まり返った夜の帳の真ん中で、KawanishiくんはちょっとめんどくさそうにDJブースに立つと、「あのー、邪魔がはいったんすけど、パーティーはまだまだ続くんで」とか言って、Oasisの「Live Forever」をかけたのだった。

僕は思わず拳を上げた。

伝わるかな、この感じ。
Kawanishiくんはこんなふうに終始、「記録よりも記憶」の人だったのです。
僕にとって。そしておそらく、多くの人にとって。

どうか、音楽が鳴り止んだ後にも、こんなふうに鮮やかに「記憶に残る」Kawanishiくんの姿を、どこかで見ることができますように。そしてJUKEBOXクルーの皆様の、ますますの発展を祈って。