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仕事。
あたらしい部署の仕事は、とにかく奇妙な仕事だ。
わからないことが多過ぎて、久しぶりに頭が真っ白になる。
しかも上司がものすごい仕事できるひとなのでプレッシャーが半端ない。
今にもはげそうです。
膨大かつあまりにも専門的な資料、重箱の隅をつつくようなやりとり、鉄仮面のような課長、青い空…とにかく、つくづくこの仕事向いてないんだなー、と思う。ほんとに。
でも、だったら何が向いてんだよ、って話ですからね。
ロックバンドが向いてんのかっていうと、完全に向いてませんからね。
やりたいからやっているというだけで。
しかし、やるからにはとことんやりたいというだけで。
僕がやっている奇妙な仕事も、ロックバンドも、ちいさな社会の中の、ささやかな営みにすぎない。
おんなじなんだ。
要は誰に届くのか、ってことだ。
今抱えているこの珍妙な仕事について、やがて届くだろう人々の顔が見えた時、僕は少しだけ理解することができた。気がする。
やるからには誠意をもってやろう。
そして稼いだお金で仲間を守ってお酒でも飲もう。
そして今日も、あなたにだけ届けばいいと願いながら、僕は歌っている。
本当の自分などどこにもありはしない。
全部がほんとで、全部が嘘だ。
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こないだ、DENSHI JISIONのドラマー、げんちゃんと僕の地元で呑んだ。さしで。
げんちゃんは、なんと僕より10歳も歳下なのだ。
どういうことかというと、彼が中学生の頃には、僕はもう就職してたってことだ。
10歳下の友達ができるとか、バンドやってなかったら、なかなかそんな機会ないんじゃないか。
僕はいい歳ぶっこいて、20代の終わりにwearerをはじめた。
頭がどうかしてるとしか思えないが、とにかくはじめた。
なんのつてもなく入っていったライブハウスのシーンは、当然周りは歳下の人たちばかりで、それでもみんな「芸歴」は僕よりずっと長くて。
それでいて、みんなしっかりしてるんだよな。
僕は20歳の頃、30代の人とまともに会話できてなかったと思う。
失礼過ぎて。
僕はそういう歳下の先輩たちに囲まれて、親切にしてもらって、なんとか歌っている。
音楽が僕から奪って行ったものは果てしないが、だが音楽から得たものも果てしない。
ちなみにげんちゃんはめちゃくちゃお酒強くて、つられて呑んでたら気絶した。
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